難治性疾患の早期検出技術
脊髄性筋萎縮症(SMA)
早期発見と治療が命を左右するSMA(脊髄性筋萎縮症)
SMA(脊髄性筋萎縮症)は、生まれつきの遺伝子の変化によって起こる神経の難病です。多くは乳幼児期に発症し、筋力が低下して、寝返りや歩行などの運動発達に加え、呼吸や哺乳・嚥下にも支障をきたします。適切な治療を受けなければ、命に関わることもあります。
近年では、運動機能の低下を防ぎ、健常児と変わらない日常を目指せる治療法も登場していますが、発症後に治療を始めても効果が限定的であることが知られています。そのため、発症前あるいは発症してすぐの段階で見つけて治療を始めることが極めて重要です。
こうした背景を受け、2023年11月にはこども家庭庁がSMAを新生児マススクリーニングの対象に追加する方針を決定。将来的には全国で公費による検査の実施が目指されています。

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生まれてすぐ、1.5時間以内に結果がわかるSMA検査キットを開発
現在一般的に行われているSMAのスクリーニング検査は、採血を行い、外部の専門検査機関で高度な機器を用いて解析をする必要があります。そのため、結果が出るまでに1~2週間かかることが多く、治療開始の判断に時間がかかるという課題がありました。
そこでCraifは、新生児への負担が少なく、しかも誕生からわずか1.5時間以内にその場で結果がわかるという、全く新しい迅速かつ簡便なSMAスクリーニングキットを開発しました。現在は実際に新生児にキットを使用し、その有効性や使いやすさを確認するための臨床研究を開始しており、今後さらに研究規模を拡大していく予定です。


幅広い遺伝性疾患に応用できるプラットフォーム技術
この検査キットには、Craifが独自に開発した標的の遺伝情報(核酸配列)を迅速に検出できる革新的な技術が使われています。この技術はSMAだけでなく、他のさまざまな遺伝性疾患や先天性疾患のスクリーニングにも幅広く応用可能なプラットフォームとして展開が期待されています。
