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2024.11.27

Craif、尿中マイクロRNAを用いた肺がんの早期発見に関する東京慈恵会医科大学、市立東大阪医療センターとの共同研究成果を第65回 日本肺癌学会学術集会にて発表

 Craif株式会社(所在地:東京都文京区、CEO:小野瀨 隆一、以下Craif)は、第65回 日本肺癌学会学術集会にて、東京慈恵会医科大学 藤田 雄 准教授、市立東大阪医療センター 野尻 崇 呼吸器外科部長らとの肺がんに関する研究成果「肺がんの早期発見のための尿中マイクロRNAを用いた検査法の開発」を共同で発表したことをお知らせいたします。Craifは今後も、がんの予防・早期発見に向けた新しい取り組みを広く届けることで、当社のミッションである“人々が天寿を全うする社会の実現”に挑戦してまいります。

■研究成果のポイント
尿中エクソソーム由来のマイクロRNAを用いた非侵襲的検査法の開発:
肺がんの早期発見では高い感度を示すマーカーが存在しないことが大きな課題です。本研究では、尿中に含まれるマイクロRNAに着目し、非侵襲的かつ高感度な肺がんの早期発見を目指しました。肺がん患者278例と健康対照者125例の尿検体からエクソソーム抽出し、次世代シークエンサーを用いて尿中マイクロRNAの網羅的解析を実施しました。
機械学習を用いた高精度な肺がん予測モデルの構築:
機械学習を用いて、肺がんの予測に最適化した40種のマイクロRNAを選定し、肺がん予測モデルを構築しました。検証セットで性能評価を実施した結果、AUC = 0.951、感度88.6%、特異度87.1%を得ました。
肺がん早期発見における尿中マイクロRNAの有用性:
早期ステージ(0/I/II期)症例を半数以上含む本予測モデルは、早期ステージから一貫して高い感度を示しました。また、異なる組織型である、非小細胞がんと小細胞がんの双方で一貫して高い感度を示しました。
術後再発マーカーとしての臨床応用の可能性:
肺がん症例のうちの100例で、肺がん切除手術前後で変動するマイクロRNAを調べました。さらにその内術後にがんの再発を認めた6例で、再発後のマイクロRNA解析も実施しました。手術後発現低下する21種のマイクロRNAを用いて新たに構築した肺がん予測モデルのスコアは、手術後に低下、再発後に再上昇する傾向を示しました。このことから、尿中マイクロRNAは手術後の再発マーカーとしての潜在的な応用も期待されます。

■用語説明
マイクロRNA:細胞の中にある非常に小さな分子で、遺伝子の働きを調節する役割を持っています。がん細胞ではマイクロRNAの種類や量が変化するため、病気の早期発見や診断の手がかりとなります。
機械学習:AI(人工知能)技術の1種で、大量のデータをもとに自らパターンを学習し、未来の予測や分類を行います。今回の研究では、がんの診断のために、マイクロRNAのデータを使って病気の有無を高精度に判定するために用いられました。
AUC(曲線下面積): 診断の正確さを示す指標で、0から1までの値を取ります。1に近いほど診断の性能が高いことを意味します。

■第65回 日本肺癌学会学術集会について
・開催期間:2024年10月31日(木)~2024年11月2日(土)
・開催地:パシフィコ横浜ノース
・公式ホームページ:https://conference.haigan.gr.jp/65/index.html

■ Craifについて
 Craifは、2018年創業の名古屋大学発ベンチャー企業です。尿などの簡単に採取できる体液中から、マイクロRNAをはじめとする病気に関連した生体物質を高い精度で検出する基盤技術「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」を有しています。CraifはNANO IP®︎を用いてがんの早期発見や一人ひとりに合わせた医療を実現するための検査の開発に取り組んでいます。

【会社概要】
社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)
代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
設立:2018年5月
資本金:1億円(2024年3月1日現在)
事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、尿がん検査「マイシグナルシリーズ」の提供
本社:東京都文京区湯島2-25-7 ITP本郷オフィス5F
URL:https://craif.com/