ベンチャーへ転職、培ってきた専門性をさらに突き詰める
津田 佳周R&D デバイス開発
小野瀨 隆一Ryuichi Onose
CEO
大学卒業後に商社に入社し、シェールガスを輸入するLNG船事業に従事していた2年目の夏、あるきっかけで民泊事業のサイドビジネスを始め、その面白さを実感しました。AirBnBの創業者が“シェアリングエコノミー”(個人所有の資産を他人に貸し出す)という概念を生み出したスタートアップだったことから「自分がやりたかったのは、この“新しい概念を生み出す”ことだ」と、スタートアップそのものに興味を持ったのです。
自分が新たに事業を興すとしたら何か、と考えたとき、頭に浮かんだのは「人類の進歩に貢献したい」という希望でした。そして数ある事業のなかで、特に社会にインパクトを与えるスケールを持っているのは“がん”だというところに行きついたのです。祖父母をがんで亡くしたという原体験も、事業展開の後押しになりました。バイオはグローバルで市場規模も大きく、世界最大のマーケットをもつアメリカで結果を出さなければ当然認められません。僕は文系で医療のバックグラウンドがないことに加えて、これまで日本で誰も成し遂げていない分野に挑むというハードルの高さもありましたが「その世界で勝っていこう」と考えるととてもワクワクしました。
その後は医療やバイオ系の投資家、起業家などから情報収集を行い、業界全体の概況をつかんでいきました。そこでがん早期発見検査の精度が低いことを知り「成功すればビジネスとしてもポテンシャルが高く、社会的にも大いに役立つ。まさに自分が取り組むべきものだ」と確信できたのです。最初は苦戦しましたが、大学病院が尿サンプルの収集に協力してくれたり、サイエンスや医療のバックグラウンドを持つ人材を採用したりと、徐々に会社としての形ができあがっていきました。
Craifでの僕のミッションはチームを作ることと、常に目線を上げてドライブし続けること。要は人集めと、お金集めですね。アメリカで事業展開したいと思っていたことから、私たちはアメリカに乗り込んでいくつかのベンチャーキャピタルにコンタクトを取り、最終的に資金調達までこぎつけることができました。彼らからは「世界で勝つ覚悟はあるか?」と問われています。特大ホームランを狙わないのであれば投資はしない、という考えを持っており非常にシビアです。
がんの早期発見は日本だけの問題ではなく、最先端の医療や医学研究はアメリカが牽引しています。居心地の良い日本に留まって、中途半端な結果で終わるのであれば起業する意味はありません。未知の領域だからこそ困難は多いですが、しっかりとしたエビデンスを集めて資金調達を行い、アメリカで勝負を仕掛けていきます。
日本に有望な技術は多くありますが、技術系のスタートアップ企業が飛躍するための投資環境やエコシステムにはまだまだ発展の余地があります。Craifが大きく成長して世界的な成功例となることで、日本のディープテック企業の魅力が増し、結果として資金もあるベンチャーキャピタルや投資家が集まり、日本のスタートアップ企業がより成長できる社会がつくられるでしょう。そのためにも、とにかく誰かが1回突き抜けた成功を成し遂げなければなりません。Craifが、その役を担いたいと思っています。
心から尊敬する頭脳や技術を持った技術者、そして大学の先生と手を組み、ラボで培われてきた技術を社会で実装させるために試行錯誤する。僕は自分にない才能を持っている研究者たちのお手伝いがしたいという思いを以前から持っていましたから、それができることに楽しさを覚えています。
Craifが求める人材は、自分でポジションをとって物事を決める勇気がある人。そして、それを実行に移せる人ですね。まずは入って、やってみるのが近道だと思います。とにかく手を動かしていれば、見えるものも増えるし、アウトプットの解像度も上がるからです。自分がどんなバリューを出せるかも、明確になってくるでしょう。
スタートアップでは、自分を含めて多くの人が「世の中が大きく変わるかもしれない」という高揚感を抱きながら突き進んでいると思います。「自分はこう思って、こうだから、こうやりたい」と具体的に思える人、さらにそれを自分でドライブできる人にぜひ来てほしい。僕が、それらを実現させるお手伝いをします。