事業の普及を通じて“天寿を全うできる社会”の実現へ
荒井 悠紀子ビジネス開発
髙山 和也 Ph.D. Kazuya Takayama, Ph.D.
R&D 分子生物学
学生時代は遺伝子の機能解析、特に細胞の分化過程で機能する遺伝子やエピジェネティクス関連因子を研究していました。ヒトゲノムプロジェクト完了から10年以上も経過したのに、まだまだ多くの「未知」であふれる遺伝子の世界に魅了されたのです。
Ph.D.取得後は、生物の面白さを伝えようと地元・熊本の高校に生物の教員として着任。しかし、未知の現象を解明して社会に貢献したい気持ちが日に日に大きくなり、再び研究者の道を志しました。未知の探求ができ、自分の力でクリエイティブに研究するなら大企業よりもベンチャーが良さそうだと思っていたところに、Craifとの出会いがあったのです。
不要な物質と思われていた尿。その中からがんを始めとする多くの疾患情報が得られると知り、とても驚いたことを覚えています。がん早期診断への応用を熱く語る代表・小野瀬の熱意にも心を打たれ、2019年春にIcaria(現Craif)へ参画しました。入社直後は小野瀨と市川しかおらず、研究設備も何もない状態。文字通りゼロからラボを立ちあげる貴重な経験ができました。
現在は、miRNAを安定して検出するための基礎研究に携わっています。具体的には共同研究施設から送られてきたサンプルを解析し、より高い検出精度を持つがんバイオマーカーを探索するという研究です。
バイオチームのメンバーと実験を重ねながら、デバイスチームや解析チーム、更には製品化に関わる部分ではセールスチームとも連携して研究を進めています。自由に発言できる風通しのよさと、各部門との密なコミュニケーション。ここにベンチャー特有の面白みを感じています。目的を達成するために必要な投資はしっかりと行えるので、設備等も充実しており、不自由なく研究を進められるのも大きな魅力です。
製品化への過程では、オペレーションの最適化や精度管理が如何に重要かを痛感しました。実験を行ったスタッフによって実験結果が違ってはならないため、何気ないピペット操作ひとつから徹底的に標準化し、作業手順書に落とし込みました。これなら、導入したばかりのラボでも信頼性のある分析結果が得られます。不安定要素を丁寧に取り去った先に、精度の高さが成り立つのだと実感しました。
小野瀨と市川しかいなかったCraifに入社し、試行錯誤でやってきた2年間。たった3人だった社員は、あっという間に40人に増えました。2年前と今ではまったく違う光景が広がり、本当に同じ会社かと目を疑うほどです。これほどまでに急成長できたのは、“Focus on Goals”という行動指針を全員が共有し、「がん早期発見の実現」「人々が天寿を全うする社会の実現」という明確なミッションに向かって突き進む強いエネルギーがあったからでしょう。
Craifでは、事業計画から優先順位を判断し、都度最善のプランに変更できる柔軟な研究姿勢が求められます。また、大学の研究では自分ひとりで実験を進めていましたが、今はほかのスタッフや部門との連携が欠かせません。実験と並行して彼らのタイムラインを常にチェックする状況判断力も持てるようになり、自分自身の研究者としての成長を感じます。
創業当初から関わっているCraifで、最初のプロダクトをローンチできるのは、責任者としてとても感慨深いものがあります。一方で、さまざまな疾患のシグナルが尿から検出可能になりましたが、その詳細なメカニズムには不明な点も多く残っています。未知の世界を追求し、論文や学会発表などで世に広めていくするのも私の役割と考えています。
単なるヘルスケアカンパニーではなく、高い研究力とエビデンスから生まれたサービスを提供できる「研究施設」としても広く認識される会社になってほしい。目指す未来に向かって、これからも尽力していきます。