Craif株式会社(所在地:東京都新宿区、CEO:小野瀨 隆一、以下Craif)は、第85回日本癌学会学術集会において、国内多施設の研究者らと共同で、尿中cfDNAメチル化解析を用いた膵がん予測モデル構築に関する研究成果「Urinary cfDNA methylation as a non-invasive biomarker for pancreatic cancer detection in high-risk individuals(ハイリスク群における膵がん早期発見に向けた非侵襲的尿中cfDNAメチル化解析の有用性)」を発表いたしました。

- 痛みのない完全非侵襲な「尿」を用いた膵がんリキッドバイオプシーの有用性を検証:本研究では、痛みがなく簡便に繰り返し採取可能な尿中遊離DNA(cfDNA)メチル化解析に着目し、膵がんハイリスク群からの疾患を識別するモデルを構築しました。
- 内部検証で高い識別能を実証:膵がん群とハイリスク対照群の間で有意な差を示した18個のメチル化マーカー機械学習モデルを構築したところ、内部Holdout群および検証バッチで高い精度を達成しました(AUC 0.795〜0.860)。
- 機械学習モデルの妥当性の証明:上記教師あり機械学習モデルと、独立教師なし進行度スコア間の比較解析を実施したところ、82%以上の高い一致率を示しました。これにより、病態に沿った確かな生物学的シグナルも捕捉されていることが確認されました。
膵がん(PaC)は5年生存率が約13%と極めて難治性の高いがんである一方、腫瘍径10mm未満の超早期に発見できれば5年生存率は約80%まで大幅に向上します。しかし、初期症状に乏しいため早期発見が極めて困難であり、無症状の一般住民を対象としたスクリーニングは偽陽性率が高く現実的ではありません。そこで本研究では、慢性膵炎、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)、糖尿病などの「膵がんハイリスク(HR)群」に焦点を当て、自宅で簡便かつ痛みのない定期モニタリングが可能な「尿中cfDNAメチル化解析」による非侵襲な識別モデルの構築と実用性の検証を行いました。
本研究では、ハイリスク患者(86例)、膵がん患者(48例)、健常者(33例)の計167例の尿検体(約12mL)からcfDNAを抽出し、RRBS(Reduced Representation Bisulfite Sequencing)法を用いて高深度ゲノム解析を実施しました。膵がん群とハイリスク群の間で有意な差を示した18個のメチル化マーカーに着目して機械学習モデル(教師ありモデル)を構築したところ、内部Holdout群および初期検証群においてAUC 0.795〜0.860という高い識別性能を達成しました。
本機械学習モデルの妥当性を検証するため、正解ラベルを用いない「教師なし進行度スコア」との比較解析も実施したところ、82%以上の高い判定一致率を示しました。これにより、得られたモデルが計算手法に依存せず、病態の進行に沿った確かな生物学的シグナルを捉えていることが実証されました。
今後は、尿中に存在する超短鎖cfDNAを高効率に回収する抽出プロトコルの導入や、ターゲットメチル化パネルへの移行により、背景ノイズの抑制と腫瘍シグナルの強調を両立させたアッセイの最適化を進め、ハイリスク群モニタリングの早期臨床応用を目指します。
- 仙台オープン病院
- 交雄会新さっぽろ病院
- 淡海医療センター
- 藤枝市立総合病院
- ともながクリニック
- 岡山市立市民病院
- 開催期間:2026年 9月24日(木)~2026年 9月26日(土)
- 開催地:国立京都国際会館 (京都府京都市)
- 公式ホームページ:https://www.c-linkage.co.jp/jca2026/
- cfDNA (cell-free DNA):血液や尿などの体液中に存在する、細胞の外に放出されたDNA断片の総称です。細胞が壊れる際などに血液中へ放出され、がん患者ではがん細胞に由来するDNAが含まれることがあります。cfDNAに含まれる遺伝子変異や量などを調べることで、がんの存在や特徴を捉えるバイオマーカーとして研究・活用されています。
- メチル化:DNAに「メチル基」と呼ばれる化学的な目印が付加される現象で、DNAの配列そのものを変えることなく、遺伝子の働きを調節する仕組みの一つです。がん細胞では、正常な細胞とは異なる特徴的なメチル化パターンが生じることが知られています。この違いを捉えることで、がんの有無や種類などを推定するバイオマーカーとして研究されています。
- 機械学習:多次元のデータから統計的な規則性や特徴量を解析・学習し、未知のデータに対して高精度な分類や予測を行う技術です。本研究では尿中に存在する微細なメチル化シグナルの複合パターンを解析することで、従来の手法では捕捉が困難だった微小ながんシグナルの高精度な検出を実現しています。
- AUC(Area under the curve, 曲線下面積):検査や予測モデルの識別性能を評価する標準的な指標です。値は0.5(ランダムな予測)から1.0(完全に正確な予測)の範囲をとり、1.0に近いほど誤判定が少なく精度が高いことを示します。一般に0.8以上で優れた識別能とされます。
Craif(クライフ)は がん早期発見に取り組む2018年創業のバイオAIスタートアップです。尿をはじめとする体液から、DNAやマイクロRNAなど多様なバイオマーカーを高精度に検出する独自の解析技術基盤「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」とAI技術を融合し、がんの超早期発見・早期治療・早期復帰を可能にする革新的な検査を開発しています。バイオテクノロジーとAIの力を社会に広く届けることで、当社のビジョンである「人々が天寿を全うする社会の実現」を推進します。
