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2020.06.24

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)における 「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」に採択 -尿検査による超高精度早期がん診断の開発を加速-

Craif(旧Icaria)株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:小野瀨 隆一、以下Craif)が、国立大学法人 名古屋大学(本部:愛知県名古屋市、総長:松尾 清一、以下名古屋大学)・社会医療法人 北斗(本社:北海道帯広市、理事長:鎌田 一、以下北斗)と共同研究中の「超高精度・無侵襲早期がん診断を実現する尿中 microRNA の簡易な機械解析システムの開発」が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」※1に採択されましたのでお知らせいたします。
これにより、当社は最長で5年間に渡って、研究費用の支援を受けることが決定しました。

左から:代表取締役社長(CEO)小野瀨 隆一、技術顧問・共同創業者 安井 隆雄、最高執行責任者(COO)水沼 未雅、最高技術責任者(CTO)市川 裕樹

■概要

当社が、名古屋大学・北斗と共同研究中の「超高精度・無侵襲早期がん診断を実現する尿中 microRNA の簡易な機械解析システムの開発」がAMEDの「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」※1に採択されました。これにより、当社は今後最長で5年間に渡って、研究費用の支援を受けることが決定しました。
AMEDは、国が定める「医療分野研究開発推進計画」に基づき、医薬品、医療機器・ヘルスケア、再生・細胞医療・遺伝子治療等6つの統合プロジェクトを中心とする研究開発を推進しています。基礎研究から実用化まで一貫した研究開発を行うことにより、成果を一刻も早く患者さんにお届けすることを目指しています。
当社では今回の採択を受け、尿検査による超高精度早期がん診断※2の開発をさらに加速していきます。今後、脳腫瘍をはじめとしたアンメット・ニーズが高いがん種の高精度早期発見検査の実用化を目指して、技術開発を進めてまいります。

※1:令和2年度「先進的医療機器・システム等技術開発事業」における「先進的医療機器・システム等開発プロジェクト」
重点課題「検査・診断の一層の早期化、簡易化」
※2:2019年度より名古屋大学・社会医療法人北斗と共同研究を開始。

■共同研究者コメント

名古屋大学大学院医学系研究科 脳神経外科 准教授
夏目 敦至 先生より:
脳腫瘍は物忘れなどの症状を起こすことがあります。物忘れや認知症は関心がありながら、脳腫瘍を疑って脳MRIなどの検査をされることは少ないです。このように本当はニーズがありながらも、「まさか」という意識のため十分満たされていないことをアンメットニーズと言います。少量の尿で脳腫瘍があるかどうか早期に分かれば、安全に治療することが可能になります。それを実現する画期的な技術です。

慶応義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット 特任助教 北斗病院腫瘍医学研究所 医師
加藤 容崇 先生より:
次世代シーケンサーによる遺伝子解析技術が進み、個々のがん遺伝子を網羅的に調べる「がんゲノム医療」が急速に普及してきており治療成績は上がってきていますが、それでも高悪性度のがんは依然として治療が困難です。がんを治すには「早く見つけて早く治療する」しか方法がありません。しかし、がんを早く見つける技術には、簡便、安価、高精度、患者さんの負担が少ない、など多くの制約があり社会実装は非常に困難です。本研究はそれらの多くの制約を突破できる可能性があり、新たながん医療を切り開く技術だと思います。

■当社の技術と提供価値

当社は、名古屋大学発ベンチャーとして、日本が誇る素材力を用いて尿からエクソソームを網羅的に捕捉し、AI(人工知能)を組み合わせて医療に応用することで、現在のがん診療が抱えるさまざまな課題解決に取り組んでます。当社のコアテクノロジーは酸化亜鉛ナノワイヤを用いた独自のエクソソーム抽出デバイスにあります。エクソソームには核酸やタンパク質などさまざまな生体分子が含まれており、バイオマーカーとして着目を集めています。本デバイスを用いることでエクソソームを高効率に抽出することができ、疾患の発症や悪性化に深く関与しているmiRNAを1,300種類以上検出し、その発現パターンを機械学習で解析することで高精度でがんを検出することに成功しています。本技術を応用することで、少量の尿から高精度でがんを早期発見する検査や、ひとりひとりに最適な治療の選択が可能となる検査を開発し、人々ががんで命を落とすことのない世界を目指します。