INTERVIEWS社員インタビュー

研究者の立場からCraifに貢献し、成長を見守る

安井隆雄 Ph.D. Takao Yasui, Ph.D.

技術顧問・共同創業者

PROFILE
名古屋大学大学院工学研究科・生命分子工学専攻准教授。2014〜2019年ImPACTプロジェクトマネージャー補佐就任、2015〜2019年JSTさきがけ研究員、2019年より再度JSTさきがけ研究員を拝命。研究テーマはナノ空間を利用した新奇生体分子解析手法の開発。がん細胞から正常細胞へ輸送されるがん化因子であるエクソソームの定量解析を目指している中で、ナノワイヤを利用して、わずか1ミリリットルの尿からがんを特定する技術を新たに発見。同技術を実用化すべく、代表の小野瀨と共に2018年5月にCraif株式会社を創業。

体内でのコミュニケーションツール・エクソソーム

学生時代からナノ構造体を使った新しい分析化学や生体関連分子の制御技術に興味を持ち、DNAやタンパク質を対象とした研究をしてきました。博士課程終了後、大阪大学(当時)の川合知二教授が代表であった最先端研究開発支援プログラム(FIRST)参画中の2012年に、エクソソーム・miRNAと出会います。エクソソーム研究で著名な国立がん研究センター・落谷教授(当時)の講演を拝聴する機会があり、miRNAの重要性や、それを運んでいるエクソソームが今後がん研究において世界の主流になると伺ったことがターニングポイントとなりました。

そこで自分の有していたナノワイヤの成長技術を用いてエクソソームを分離・捕捉するデバイスの開発ができるのでは、と思い研究を開始。エクソソームは非常に小さいため、どのように捕捉したらよいか、材質や流路の検討などの手段を講じました。その研究がCraif創業のきっかけとなった尿中エクソソーム由来のmiRNA捕捉ナノワイヤデバイスにつながっています。

ターゲットの体液として尿に狙いをつけたのには明確な理由があります。血液には血球成分など分析上の不純物が多く含まれる一方で、尿にはそれらが少ないということです。それなら扱いがシンプルな尿がよいだろう、という選択でした。医学の領域では血液を用いるのが常識でしたが、これは工学ならではの発想かもしれません。

情熱あふれる創業者に誘われ、Craif立ち上げへ

この研究で見いだされた成果を2017年の12月に論文発表して、さまざまな方面からベンチャー設立の提案を打診されました。これといった決め手がなく創業を考えあぐねていた2018年の3月、ベンチャーキャピタルのANRIの鮫島さんから「ぜひ会ってほしい」と紹介されたのが代表の小野瀬だったのです。

初回のミーティング中、もちろん初対面にもかかわらず、小野瀬は当時勤務していた三菱商事を辞めてくると宣言。その勢いにのまれて「じゃあやりますか?」と返事をするとどんどん話が進み、5月にIcaria (現Craif) を立ち上げることになりました。初対面から2カ月足らずのスピードです。

創立までの2カ月のあいだ、小野瀬からは「いつ寝てるんだ」という勢いでメールが送られたことを覚えています。最初は「一度会っただけの人と起業するなんて」と迷いましたが、とにかく計り知れない情熱を持った人だったので、一緒にやってみようと心を決めました。

研究者の立場から、発展し続けるCraifを見守り続けたい

私は共同創業者であり、技術のアドバイスをする立場ですが、メインはアカデミアの研究者です。私自身が果たすべき役割は、これまでに開発してきた技術に固執するのではなく、次の最先端をまた新たに生み出していき、Craifの将来を共に作ることだと思っています。

一方で、技術の開発者として研究開発への協力は行いますが、Craifとの距離感は大切にしています。ビジネスや実用化の部分はアカデミアの人間が細かく介入するよりも、その道のプロ(=小野瀬やCraifのチーム)を信頼して任せたほうが、会社が大きく成長するには適切だからです。

2012年に研究をスタートさせてから創業するまでの6年間、言葉にするとわずかですが数え切れない試行錯誤を経て技術を磨き、研究を進めてきました。小野瀬の熱意からはじまったCraifは、今や40名を超す規模に。技術の発展と会社の成長を一番近くで見守り、サポートし続ける存在でいられることを誇らしく思います。

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